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1首鑑賞182/365

夏休みと決めて何にもしない日を四日つくつて何かしてゐた
   馬場あき子『あさげゆふげ』

     *

わたしの手帳にも、週に一日の休日の欄には「何も入れない」と書き込んである。休みとおもってあれもこれも人との用事やなすべき雑事を詰め込むと、結局それに追われてあわただしく過ぎてしまい休みにならない。だから、「何も入れない」と大書し、予定を書き込めないようにしてある。結局はその隙間を縫うようにして予定が詰め込まれることになるのだが……。ともかく、一日なんにもない日、というのは貴重である。

この「何も入れない」に相当するのが、掲出のうたでは「夏休み」であり「何にもしない日」である。比べるまでもなく馬場さんのほうが多忙で、強い意志をもって「何にもしない日」を設けなくてはなるまい。そうでなければ、たちまち予定で埋まってしまう。それなのに、やっぱりというべきか、「何かしてゐた」というのだ。生活のこまごましたことから、締め切りのある原稿や読みたい本や出かけたいところなど、当然あるわけで、たんにぼーっとしたりごろごろしたり、というわけにはいかないものなのだ。いやはや。「何かしてゐた」くらいで済んだことを、あるいは「何もしない日」を設けた甲斐と言うよりほかないだろう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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