『あらたま』を読むまで

『思川の岸辺』(2015年)をきっかけに小池光の既刊歌集を読み返し、エッセイや評論の類もいくらか読むにつれて、齋藤茂吉を読まなくては、という気持ちが湧きおこってきた。小池光と齋藤茂吉には共通点がいくらもある。韻律の差配や演出の方法など、小池固有のものとおもって愉しんできたその背後にうっすらと茂吉の影のあることを感じるようになったのだ。

それで茂吉、なのだが、これはもう何年も前に全集で片っ端から読んでやろうと意気込んで挫折したことがある。引用された歌やその鑑賞のなかでは親しみやすい茂吉の歌も、歌集となって並んでいるのをはじめから読んでいくとなると、状況がちがってくる。とにかく退屈だったのだ。しかしあれから何年か経って、昨夏には牧水を集中的に読んだこともあって、わずかに自信が持てたわけで、早速図書館へ行って茂吉全集を開いたのだった。これが2ヶ月前のことである。

まず『赤光』を読んだ。最後まで読み通すことはできたし、おもしろがって読んだのだが、どうも精彩に欠く。こちらが勝手なイメージでいるから相対的に、ということにはむろんなるのだけれど、思っていたほどには感激がなかった。うーん。それから並び順のとおり『あらたま』を読んだ。読み始めてすぐに「これだ」という気持ちが湧いてくる。豊かな韻律のバリエーションに、連写のごとく歌の並ぶ連作のいくつか。一気に読み通してしまった。

そういうわけで『あらたま』の中から好きな歌を挙げて感想を書いていくことにする。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生まれ。「やまなみ」所属、野田光介に師事。16歳より作歌を開始。2016年、歌壇賞候補、現代短歌社賞次席、「温泉」50首が話題になる。2017年、現代短歌社賞次席。
▶︎現在、鳥ノ栖歌会に参加。ツイキャスユニット「いいぞもつとやれ」、企画同人誌「tanqua franca」で活動中。
▶︎初期作品を「空を見てゐる」18首にまとめています。その後の2014年〜2017年の作品は『湯』『温泉』にまとめています。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はkyushu.sc.m.yamasho@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR