FC2ブログ

1首鑑賞179/365

寒いのか寒くないのか布団より手を出してみる立春の朝
   馬場あき子『あさげゆふげ』

     *

率直に言うと、とてもとてもキュートな1首だ。布団にすっぽりはいって朝、目覚める。布団のなかはぬくいが、そとはどうか。手だけだして探ってみる。やっぱり寒いか。いや、ちょっとあたたかいか。その場面を想像してほほえましい。ただ、うたは結句の「立春」によって絶妙に締まっている。たんに今日寒いかどうかの話ではなく、大きな季節の移ろいのなかで、かすかな変化をたしかめようというふうな意味がかさなってくるからだ。立秋のかすかな秋の気配を「風の音」に感じとった古典に対し、立春のかすかな春の気配を、布団から出して手が触れる空気に感じとろうとするこの1首のスケール感にくらくらする。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR