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1首鑑賞171/365

さやかなる月の光に照らされて動(うご)ける雲は峰をはなれず
   斎藤茂吉『ともしび』

     *

「箱根漫吟の中 其二」より。雲は動くか動かないか、あるかないかで捉えられることが多いが、ここでは「峰」との関係のなかで「はなれず」とうたわれている。この点をまず新鮮におもった。そして「はなれず」ではあるが、とどまっているわけではない、というところに注目する。水平方向の動きであって鉛直方向の動きではない、ということなのだ。低い位置にあった雲が上昇していったり、あるいは高いところにあった雲がおりてきて峰が覆われてしまった、というのではない、と示される。なるほど雲の動きで鉛直方向というものを考えたことがなかったので、こう示されてみてはっとする。月の光もさやかなればこそ。雲の形までくっきりと見えてくる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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