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1首鑑賞167/365

お願ひしますと言ひて電話を切りし人余韻のごとき数歩あゆめり
   島田幸典「志ん朝」『歌壇』2019.7月号

     *

最後にひとこと「お願ひします」と言って電話を切る。外での電話だろう。「お願ひします」と言いつつかるく頭をさげているところまで思い浮かぶ。無事に用件をまとめることができた。安堵よりもまだ興奮のほうが勝っている、そんな状況とおもう。「余韻のごとき数歩」というのがいかにもである。心拍数をおさえるように深呼吸してみたり、かるく歩いてみたりするわけだ。周りにひとがいて、くつろぐようにするわけにもいかず、また、大声を出して快を叫ぶわけにもいかない。だから何事もなかったけれど、みたいな表情になる。わずか「数歩」のあの感覚が、臨場感をもって提示された。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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