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1首鑑賞159/365

歯を磨くあとどれだけを嚙み砕く力残るや朝の歯みがく
   馬場あき子『あさげゆふげ』

     *

歯を磨く、とうたい出すことによって「あとどれだけを嚙み砕く力残るや」という思考がうまれる。行為を明文化して認識するそのことが、その次をおのずと要求する。そしてそれが、朝歯を磨くという行いの意味をあらたにする。ひとつのリフレインの形だ。「歯を磨く」と「朝の歯みがく」で場面そのものにそれほど違いはない。けれども、リフレインの前後でその解釈はいくらも違ってくる。

もうひとつ注目するのは「嚙み砕く」だ。なんとも迫力がある。歯でものを嚙む、嚙める、嚙めない、というところまでは思うだろうが、そこに「砕く」が添えられてよりこまかいニュアンスがうまれてくる。嚙んで砕いてものを食べる。その生々しい現場が再現される。複合動詞の力だ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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