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1首鑑賞149/365

ひとすじに鉢をこぼれるあさがおの蔓は舗道に花を散らして
   山階基「百年」角川『短歌』2019.6月号

     *

頭から順に読んでいって、ひとつも不明瞭なところはないのだが、結句に至ってはじめて花は散っていることを知る。第三句「あさがおの」を読んだところで咄嗟に「花」をイメージしたのだが、その映像がかき換えられるかっこうだ。

そもそも初句の「ひとすじに」で予感すべきであった。ひとすじ「の」ではなく、ひとすじ「に」であるから、視線の誘導がふくまれている。眼前に「ひとすじ」の総体があるのではなく、ひとすじの蔓をたどってその先の花に至るのだ。

ひとすじの蔓のその先に花は散って在る。あさがおは合弁花であるから花びらが散るわけではない。「花」は萎れるか落ちるかする。ところがここでは「蔓」を主語に据えることによって散るを実現する。ささやかな更新がある。それははじめに書いたかき換えとあいまって、長く舗道の花を印象づけるようだ。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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