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1首鑑賞145/365

返事してくれるわけなく夕暮れを再び端から探す自転車
   前田康子『窓の匂い』

     *

駅前の自転車置き場を思い浮かべる。ずらっと自転車が並んでいて、自分のものが見つからない。たしかこの辺りに置いたんだけどな……と心当たりあるところをひととおり探すがどこにもない。整理のために係の人が移動させていることもあるので、他のところも一応あたってみる。見つからない。徒労感が滲んでくる。

名前を呼んで返事をしてくれるなら、と想像する。むろん、そんなことはない。夕暮れに迷子になってしまったのは自分のほうではないか。なんだか切なくなってくる。と言って、嘆いてばかりもいられない。見落としがあったのかもしれない。もう一度、端から順に探ってゆく。じきに暗くなる。明るいうちに見つかるといいのだが。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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