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1首鑑賞144/365

この朝は七草粥に一つまみ塩を落してガスの火を消す
   橋本喜典『聖木立』

     *

ひとつ朝の光景である。七草粥を作って食べた。それだけのことだが、ひとつひとつの所作がこまかく描かれていかにも静かなひとりの朝を思わせる。火を消す前にパラパラっと一つまみの塩を落とす。長くやってきた作り方だろうか、なにやら秘策のようにも映る。この朝は(a)→(a)七草粥に(i)→(i)一つまみ(i)→(i)塩を落して、と母音のつながり滑らかに一首が進行し、結句「ガスの火を消す」に至ってはすべての動きや時間が収斂するようなここちがする。「この朝は」のうたいだしが、ひとつ光景をぎゅっと引き締める。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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