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1首鑑賞141/365

柚子一個黄のかがやきを置きたれば仏壇不意に奥を深くす
   橋本喜典『聖木立』

     *

柚子一個の存在感が、おもいがけず、仏壇全体に遠近感を生んだ。そういう1首だが、「柚子一個」を「黄のかがやき」と抽象化し(=性質だけを取り出だし)、(仏壇の奥が深くなる、ではなく)仏壇「が」奥を深くする、というふうに述べ表すところに表現のうえの魅力がある。

「黄のかがやき」が置かれる前も後も、仏壇は仏壇としてそこに在るのみで変わることはない。その、のっぺらぼうの仏壇が、「黄のかがやき」という一点を得ることによって「位置」という概念をもちはじめる。1首は素朴な空間認識をうたっているけれど、どこか数学的で、ある抽象的な世界や性質を言っているようにも映る。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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