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1首鑑賞137/365

山茶花のかがやき咲ける下に立ち思はぬ冷えがからだをのぼる
   橋本喜典『聖木立』

     *

「山茶花」「思はぬ」というところから、

さざんくわのゆふべの花に手をおけばおもひもかけずしめりて居たり
   小池光『思川の岸辺』

の1首を思い出す。同じ山茶花を目の前にしてこのうたが花の湿りを言うときに、掲出のうたは自らの体の冷えをうたう。小池の1首の「ゆふべ」はいくらかあたたかそうであるが、橋本のほうは、「かがやき咲ける」とありながら、ぞっとするような寒さが身をつつむ。冬の木の下かげには陽が射さず、さすがに冷えがたまっている、ということだろう。夏のゆうべなど、山陰に入った途端たちまち冷えがおそうことがあるが、それに近い感覚と想像する。「冷えがからだをのぼる」の生々しさに震えるおもいをもった。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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