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1首鑑賞135/365

読むことを望まれてとどく書物なれ手刀切つて積みゆくばかり
   橋本喜典『聖木立』

     *

橋本さんのところであるから、謹呈などの本が山ほど届くのだろう。いずれも「読むことを望まれてとどく」と承知しつつも、とてもじゃないが読みきれない。「手刀(てがたな)を切る」とは、相撲で勝った力士がなにやら受け取るときのあの作法である。到底ぜんぶは読みきれないのだが、恭しく受け取り、また謝意をあらわす仕草、ということだろう。

以前「九大短歌」をお送りしたとき、半年ほどたって御礼の葉書を頂戴したことがある。おもってもみなかったことで、飛び跳ねるように嬉しかった。太宰府吟行のことを、「いい勉強ですね」と書いていただいた。その葉書には、「目が悪くて御礼が遅くなってしまいすみません」というようなことも書かれてあって、いたく恐縮したことを思い出す。

その「御礼の葉書」ということについて、いつだったか橋本さんがエッセイを書かれていて、そういうことだったのか、とおもったことがある。それが何の雑誌であったか、いつ頃であったか、今となっては手がかりもない。そのとき書き留めておくべきだったと後悔するばかりである。「手刀切つて」にはいくらの誇張もなく、橋本さんの姿そのものがあらわれているようにおもう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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