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1首鑑賞132/365

わが胸によき思ひ出の幾つもを残してきみは在らずなりたり
   橋本喜典『聖木立』

     *

大切な存在であるところのきみを亡くし、「わが胸」には「思ひ出」だけが残ってしまった。けれどもその「思ひ出」というのは、わたしが覚えているからあるのではなくて、きみが「残し」たから「わが胸」にある。きみは居なくなってしまったのではない。わが眼前には、「在らず」という状態になってしまったのである。きみが残した「思ひ出」が「わが胸」に在りつづける。

「思ひ出を幾つも」ではなく「思ひ出の幾つもを」であり、「無くなりたり」ではなく「在らずなりたり」であるところに、立ち止まった。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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