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1首鑑賞116/365

頬髯の霜柱立ち精神科患者の父の三十年過ぐ
   小島ゆかり『純白光』

     *

淡白に告げられる「三十年」という歳月が重い。「頬髯の霜柱」というのは、白い髯のことだろう。歳月が過ぎ、頬の髯もことごとく白くなってしまった。「精神科患者」の「三十年」というものがどれほどのことか、想像もつかないが、厳しくもどこか安らかなところのある一首である。

詞書のような日記部分には「父はもう待つことができないから、わたしはいつも朝6時半から病院の窓口に並ぶ。1番か2番の受付番号をもらうため。」とある。この人にとっての三十年もまた、一首のなかに張り付いている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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