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1首鑑賞103/365

もう秋は鼻の先まで飛んで来てトンボのように静止している
   花山周子『林立』

     *

飛んで来て静止しているトンボと、そのように存在している秋そのものの感じが、1首のなかでまじりあいながらうたわれている。鼻の先、というのはすぐそこまで、ということだろう。目と鼻の先、ということばを思い出す。こういう語の取り込み方が、この歌集にはほかにも少なからずあって、ひとつのレトリックとして注目した。

秋がもう、手で触れられるくらいすぐそこに来ていて、わたしはそこにほんの少し足(というか顔?)を突っ込んでいる。ここで注意するのは、語順が「鼻の先まで飛んで来て静止しているトンボのように」とはなっていないことだ。トンボのように、が掛かっていくのはひとまず「静止している」のほうだけだと読める。眼前にきてふるふると静止している秋。飛び立ってしまえばひといきに秋がくる寸前、という感じだ。1首には緊張感というよりも、高揚感がただよっている。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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