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1首鑑賞101/365

ライターの火を立たせつつ夏の夜の湿気を吸いし煙草を当てる
   花山周子『林立』

     *

煙草を吸おうと火をつける、そのまさに一場面がえがかれているのだが、それがこんなにも印象深くなるものかなあ、とおどろく。カチッ、カチッとやってライターに火をともす。ゆらゆらと揺れてなかなか定まらない。その火をしゃきっと「立たせ」て、煙草の先を当てやすくする。煙草のほうはと言えば、「夏の夜の湿気を吸」っていて火がつきにくい。しばらく(といっても五分も十分も、というわけではないだろうが)当てておかないとうまく火がうつらない。そういう一場面である。ろうそくの火を手花火の先にうつすときの、小さな種火を大きな薪にうつしていくときの、じれったいような時間が、一首の長さをつかっていかにもじれったく、つややかにうたわれている。「火を立たせ」「煙草を当てる」の「立たせる」「当てる」の動詞の妙をおもう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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