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1首鑑賞94/365

春になり物差しもわずか伸びていん本にあて本の束(つか)を測りぬ
   花山周子『林立』

     *

木製あるいは竹製の物差しだろうか。冬のあいだ縮こまっていたのが気温の上昇とともにわずかにも伸びてくる。襖などは冬ちぢこまって隙間風を通すが、物差しほどのサイズであれば、実際にたしかに伸びている、とわかるほどには伸び縮みがあるわけではないかもしれない。「いん」という助動詞にはそういう意味で推量の気持ちがありながら、一方で、伸びているといいなあ、という希望のようなものも籠っているようにおもう。花が咲き、葉がひらきしていく春の、その伸びゆくひらきゆく植物との相似をおもえばのことである。「本にあて」「本の束を測」る、というリフレインのなかには、その所作のはずむような気分を感じることができる。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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