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1首鑑賞85/365

われの心をおよぎわたって子の腕のゆびまで逞し春の夜の風
   花山周子(塔2018.7)

     *

初句と第四句の字余りがゆらゆらと一首に流れを生んでいて、それは結句の「風」の感じにも、「およぎわた」るその動きにも、「腕のゆびまで」という視線のうつろいにも通じるところがある。およぎわたる、という複合動詞の延びた感じもここに関わってくるかもしれない。

掲載は7首、その1首目に

学童にひとりでゆける子の姿窓より見おり葉ざくらの風

があり、つづいて掲出のうたが並ぶ。何をするにもどこへ行くにも一緒だったのだが、「ひとりでゆける」ようになった。その姿を見る眼差しを、すこしおのれのほうへ向けたような掲出歌である。「およぎわたっ」たゆえに逞し、とはいくらもちがう情感があって、それを春の夜の風が冷ますようにも思い起こさせるようにも撫でていく。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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