2019/03/23
1首鑑賞82/365
旅先の商店街のしずけさを布団屋に入り夏布団見る竹中優子『罠と伊予柑』
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旅先の商店街がしんとしていて、そのことが気になっている。やっている店が減ってしまったのか、時期か、時間帯か。生活の者ではない旅の者には、どういう事情かまではわからない。
しずけさを、というのは、しずけさのなかを、くらいの意味だろう。はじめは言い差しの詠嘆とおもって三句でひと息ついたのだが、全体読んでみると、結句までひとつながりと読んで自然だった。ここではそういうふうに読む。
ちょっと興味あって覗いてみた。むろん目当てのものがあるわけではない。旅先で布団買って、背負って帰るわけにもいかない。それでこの「夏布団」というところで、さらりと季節が入ってくる。夏用のうすい布団を見ているのだ。おのずとこの旅が夏かあるいは夏てまえのものだとわかる。布団のリフレインもここちよい。
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