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1首鑑賞73/365

寒鰤のあぶらしたたる口中にじわりしみゆく信濃の冷酒
   内藤明『海界の雲』

     *

いかにもうまそうだ。「あぶらしたたる口中に」とあって、口が酒を欲している。そこへ冷酒を流しこむ。たちまちあぶらと酒とがまじりあって、ある歓喜をもたらす。それが「じわりしみゆく」とあるので余韻たっぷりたのしんでいるわけだ。仔細に語られて、じっくり伝わってくる。

上の句のひとつらなりの感じが「じわり」で句切れのように断ち切られるところも、1首の味わいだろう。そこから「しみゆく」「信濃」と頭の音を揃え、また「信濃の」と「の」の音を連ねることで、結末であるところの「冷酒」が先延ばしになり、強く印象に残る。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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