FC2ブログ

1首鑑賞66/365

そのむかし聞きにし言葉「完膚なきまでに」つぶれし落ち柿ぞこれ
   中島行矢『母樹』

     *

完膚=きずのない皮膚。つまり「完膚なきまでに」は「きずのない皮膚がなくなるほどに」(すごいな……)「徹底的に」というような意味である。まさにその字義どおり、めためたにやられた「落ち柿」が眼前にある。そこでふっと思い出す。「完膚なきまでに」ということばがあったなあ、と。「落ち柿ぞこれ」という結句で、ぐっと柿の表面に視線がいく。「完膚なきまでに」ということばが、ふっと息を吹き返したようでもある。

身におぼえある掛け声はよいこらしョ物を担ぐはかなしきしごと

このうたにも、掲出歌と似た気分がただよっている。「そのむかし聞きにし言葉」や「身におぼえある掛け声」がうたをみちびく。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR