FC2ブログ

1首鑑賞45/365

そめのさん強くなつた、とさわがしき飲み会果てて呟きぬ田村
   染野太朗「静かな日々」『太朗九州』①

     *

お酒に強いとか弱いとかいう言い方をする。「そめのさん強くなつた」はお酒の話である。けれども一瞬、お酒とかなんとか抜きにして、たとえば人として強くなったとか、打たれ強くなったとか、飲み会とか人の集まるところに強くなったとか、いろいろ想像してみることができる。そういう、1首のうたい出しだ。

さわがしい飲み会のあいだは、思っていてもこういう俯瞰的な発言はなんとなく避けられる。没頭していない人がいると覚めるのが飲み会だからか。それで会が果てたるのちに、ぼそっと呟くのだ。ごく自然に、という気分が「ぬ」に表れている。会の盛り上がりに紛れて消えることなく田村さんには残ったのだ。そめのさんがお酒に強くなったということが。田村さんはなにを思っただろう。近しさか、さみしさか。結句が「田村」で括られているところに、そういうことを考えてしまった。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR