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1首鑑賞29/365

上昇ををはり雲の上にいでしとき煙草喫む人は煙草をのみぬ
   長谷川銀作『低い窓』

     *

飛行機の中、禁煙じゃなかったんだなあ、とまずおもう。ぐー、っと上昇している間は後ろに引っ張られるような姿勢で息苦しい。それが上がりきってしまえば解放される。そこで一服、というわけだ。子どもの頃、大人というのは酒を飲むのと同じくらい煙草を喫むものだとおもっていたが、今の常識はちがう。ひとつ時代の光景をとどめる1首である。

飛行機が上昇している間、しばらく雲の中を抜ける時間があるとおもうが、それを過ぎると、ぱっと視界がひらけてくる。一面晴れ渡っていて、はじめて目にしたとき、不思議なものを見たように感じた。そこにもひとつ、開放感がある。安堵の心持ちがある。同語反復のような下の句だが、煙草を喫む人は煙草をのみ、そうでない人は、たとえば旅の本を開いてみたり、飲み物を飲んでみたり、思い思いにこころを開いていく。そういう各々の感じが表れているようにおもう。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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