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1首鑑賞18/365

お山は夜ぎりの中にひえゆきて仏法僧の啼きうつるこゑ
   長谷川銀作『低い窓』

     *

初句は4音で字足らずなのだが、それほど気にならない。お山は︶夜ぎりの、とひと息に4・4を読むうちに、夜ぎりの中に/ひえゆきて、とおのずから7・5のリズムに吸収されていく感がある。お山、の「お」は無くても意味として通じるから、それも取り払って「山は」とすると、いよいよ他のことばが入りそうである。具体的な山の名前などあってもよさそうなのだ。しかし、このうたはそうはしない。「お山」というちょっとぼんやりした表現と、お山は︶夜ぎりの、という音楽性によって読者を1首の世界へ誘導する。深閑とした景色である。そこにじわじわと仏法僧の声がひびかう。「啼きうつる」という複合動詞が肝だろう。ただよいただよい、わたしにもその声がうつってくるかのようである。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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