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1首鑑賞14/365

砂浜がないから砂を撒いている今宵ふくらんでゆく金魚鉢
   高山由樹子「灯台を遠くはなれて」『歌壇』2018.2月号

     *

金魚鉢には砂浜がない。だから砂を撒いて、砂浜を作る。でも金魚ってそもそもが人工のものではなかったか。wikipediaには「フナの突然変異を人為的に選択し、観賞用に交配を重ねた結果生まれた観賞魚」と、おそろしげなことが書かれている。ということは、金魚が泳いでいるところに砂浜がある、というのはあるイメージであって、金魚鉢に砂浜がないのは当然で、ないから砂を撒く、という言い方には居もしない敵を想定してそれをやっつけるのに似た不気味な感じがある。その感じはそのまま、下の句へつづく。金魚鉢がふくらむ、というのはどういうことか。金魚鉢世界が豊かになるということか。それらしくなって、見栄えするということだろうか。そこに「今宵」とあるのもまた、おそろしい。世界を作ろうとするはっきりとした意志と、そのことに対する〈快〉がうかがえる。まるで金魚が生まれたときのように。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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