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1首鑑賞13/365

てのひらに音をたてたる釣り銭の遠くの秋を過ごすあなたは
   森本直樹『あの日のにゃん りたーんず!!』

     *

釣り銭を受け取って、それがてのひらの上で音を立てる。決して大げさな音ではないだろう。瞬間、あなたを思う。そう言えば……と。過ごした時間や、場面や、あなたのこと、あなたと居たことが思い返される。ふだん、強くは意識していないことだろう。遠くのあなたである。しかし、こころにずっと留まっている気持ち。それが、さーっと浮上してきて遠くのあなたに照りかえす。あるいは、上の句は「遠く」を導く序詞とも思われる。音のかそかさが遠くなる音と響き合う。音信ということばがある。元気だろうかとあなたを思うこころにつながる。わたしの秋と遠くへだたるあなたの秋の時間がある。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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