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1首鑑賞6/365

ねむる部屋にカレーのにおい濃く立ちて目覚めたらほんとうに横で寝ている
   狩峰隆希「福」『ネプリ・トライアングル(シーズン3)』第二回

     *

意識を追いかけながら、それをそのままうたにしていく。斉藤斎藤のうたを想起する。ひとつのうたい方の向きだろう。読者のわたしのたましい(?)は、この人の体に入ってこのうたを体験する。

ねむる部屋、という把握はまだ目を開けていない時点のものである。意識はあるのだが、まだ眠りの途上にあって、じきに目覚める。そのぼんやりとした時間である。カレーのにおいを感知する。濃く、とあるので相当におう。カレーのにおいというのは一発でそれとわかるくらいにはにおうし、特徴がある。あるいはそれゆえの濃く、なのかもしれない。そうだとしても体感をよくあらわしていることばとおもう。カレー? という戸惑いがある。しかし断定まではできない。そういう意識の具合だ。そして目覚める。横に誰かが寝ている。読者のわたしはちょっと裏切られる。カレーを作っている誰かを想定したからだ。けれどもちがった。カレー食ってそのまま寝たのか。なんだかリアルである。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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