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もっとも心に残ったこの連作2019

心に残ったこの連作2019各部門から5篇ずつ、もっとも心に残ったものを選びました。

短い連作では、うたの数に合った話題の絞りこみや、作品世界としてのまとまりについて考えさせられました。大きな飛躍や展開ではなく、しかし単調ともちがう、抑制されたなかでの具体のバリエーションが一連を活かしているようにおもいます。

長い連作の場合は、こんどはどう一連をまとめていくか、なにをもって推進していくか、というところに注目しました。詞書の工夫や、ひとつのモチーフを象徴的に点在させる方法、またストーリーではない、エッセイふうの場面転換などによって読者をおもいがけないところに連れていく、そういう連作に惹かれます。

長短のどちらとも言いがたい、中間の長さの連作については、ひとつの場面でおしきって細部が迫ってくるものがある一方で、どこか間延びした印象を受けるものもありました。大きな場面転換を入れるにしても、ひとつに絞って構成するにしても、難しい長さというのがあるなあとおもいます。一連を前から読むことを前提にした文体的な仕掛けや、構成上のトリックが活きた作品も心に残りました。

以下に5篇ずつ列挙します。順不同です。ただし、ひとりの作者につきひとつの作品に限ることとしました。

     *

(1)10首未満の連作
「冬虹」7首(加藤治郎、短歌1)
「柿の木」7首(花山周子、短歌研究3)
「金魚」7首(永田紅、短歌研究3)
「怖いのりもの」7首(渡辺松男、短歌研究6)
「松本にて」7首(三枝浩樹、現代短歌11)

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(2)10首以上20首未満の連作
「初春」12首(後藤由紀恵、歌壇3)
「ながく覚えて」12首(小島なお、歌壇5)
「蟻の夏」12首(小島ゆかり、現代短歌新聞7)
「L氏」13首(染野太朗、現代短歌8)
「空耳、小耳」10首(竹中優子、短歌9)

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(3)20首以上30首未満の連作
「沸点まで」24首(大森静佳、現代短歌1)
「岡本太郎の絵」20首(佐佐木幸綱、歌壇3)
「早春賦」28首(日高堯子、短歌5)
「スッポンの夜」20首(穂村弘、歌壇7)
「いきものの夏」28首(馬場あき子、短歌11)

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(4)30首以上の連作
「石蓮花」33首(吉川宏志、短歌往来1)
「父さんでしたか」30首(藤島秀憲、短歌研究1)
「エンジェル」30首(武田穂佳、短歌研究5)
「大黄」50首(小池光、現代短歌10)
「カフェテリア」30首(斉藤斎藤、短歌研究10)

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2020年は毎月少しずつ、連作を読んでいこうとおもっています。
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プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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