FC2ブログ

短歌日記59/365

減量24日目。禁酒2日目。87.6キロ。

     *

夕つ日は眉山の肩に触れながら沈みゆきたりたちまちの闇
スポンサーサイト



1首鑑賞59/365

夜ならば暗くてもいい。ひかりから逃げて逃げて家があった
   長友重樹「この中の一人か二人は生理であって」『九大短歌』第七号

     *

夜だから暗くてもいい、と、夜ならば暗くてもいい、ではいくらかニュアンスが違ってくる。前者では夜であることが確定しているのに対し、後者ではそこまでは言い切れない。夜かもしれないしそうでないかもしれない。この際関係ない。でも、夜だとしたら、暗くてもいいよね、と言う。夜なんだから、と。たしかに暗くて当然だ。このあたりで、夜というのがどこかで隠喩めいてくる。それを現実に引き戻しながら読む。ひかりから逃れている。ひかりが嫌なのだ。逃げて逃げてひかりのないところへ行こうとする。暗闇を逃れてひかりを目指すのではない、というところを、過剰に読まないように気をつける。ひかりは今、避けるべきものなのだ。たとえば夜道を歩いていて、家に帰ればそこには灯りをともすことができる。だから家は暗闇に対してひとつの光である。それなのに、たどりついたのは家だった。徒労感がある。と同時に、やっぱり家なのか、という閉塞感もある。暗いほうへ暗いほうへ行こうとする。夜だからそれでいい。それでいいそれでいいと思いながらひかりに背を向ける。そのうち朝が来る、というのが苦しい。夜を抜けるのはむずかしい。

1首鑑賞58/365

ポケットに両手を入れてきみとゆく川面にふれずにいる雪柳
   井村拓哉「揺れないピアス」『ねむらない樹』vol.2

     *

まだ少し寒さののこる頃か、川べりをふたりで歩く。雪柳が咲いてしろく垂れている。それが川のおもてには触れずにいる。まるできみとの距離感を示すようである。ポケットに入れた両手はなんとなく行き場をなくした手なのだ。川べりの時間がまばゆく映る。

短歌日記58/365

減量23日目。禁酒1日目。85.5キロ。『松本大洋本』(松本大洋、小学館)、『謝るなら、いつでもおいで』(川名壮志、新潮文庫)を読む。

     *

花ひとつおしひらく力夜ごと溜めハクモクレンの花は咲きたり

1首鑑賞57/365

はつはるの増えることなき家族にて雑煮の碗に角餅ひとつ
   後藤由紀恵「初春」『歌壇』2019.3月号

     *

この先も増えることのない家族、という意識が、前面に出て1首が成っている。正月だからこそ、家ということ、家族ということを改めて立ち止まって考えてみることになる。具体的な場面としては、雑煮の具の角餅に、スポットライトが当たる。これまでの正月の風景がさーっと浮かんでくる。家族は増えたり減ったりしたか。そして現在、その先。このままゆるやかに減ってゆく家族か。増えはしないことがなにか確信めいて思われている。そういう年齢というかなんというか。角餅の「角」や「ひとつ」に意識が向いているのも印象的だ。

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎『温泉』ご購入はこちらから。現代短歌社のオンラインショップです。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR