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短歌日記57/365

減量22日目。禁酒1日目。85.8キロ。

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裂け目あるところより裂いて捨てていく十年がほどをつかひし布団

1首鑑賞56/365

砂町の人工水路を歩みし日 よきかな あの水仙すれすれの空気
   大島史洋「タイムマシン」角川『短歌』2019.2月号

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あの水仙すれすれの空気、というのが良いなあとおもう。ぱっとは意味がとりづらいのだが、水路脇の水仙をおもってみる。水の匂い。水仙の葉の匂い、花の匂い。コンクリートの感じ。あのときの感触がたしかに思い返されているのがわかる。「あの」なんて言われても読者はそれを共有できないのだけれど、それでもいいんだ、と言わんばかりに「よきかな」と声がもれる。ああ、よかったなあ。あの感じ。あの水仙すれすれの空気が。

短歌日記56/365

減量21日目。禁酒4日目。86.9キロ。ネットカフェで1つ原稿を送って中川家のコントをえんえん見る。昼はフレッシュネスバーガー。月詠を清書して封入。長く行けていなかった散髪へ。『食戟のソーマ』33(附田祐斗・佐伯俊、集英社)を読む。

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雉鳩のあしたのこゑのくぐもれるごときひびきに鳴る腹のおと

1首鑑賞55/365

春の鳥な鳴きそ鳴きそあかあかと外(と)の面(も)の草に日の入る夕
   北原白秋『桐の花』

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北原白秋のうたは、たとえば茂吉や牧水ほどには読んだことがない。というか、ほとんど読んだことがない。それで、第1歌集『桐の花』をひらくと、まずこの1首があっておどろく。これが巻頭歌なのか……。春の鳥に、鳴くな鳴くなと呼びかけている。外は夕暮れ、あかあかと草地に日が差している。こまかく文節がきれてこぎみよく、あかるいうたではないけれど、湿っているふうでもない。

「春の鳥」で「春の」が「鳥」にかかることや、「外の面の草」という視線の食い込み方など、言うべきことは多いが、どこか痛々しいこのうたのイメージは、白秋の童謡にみられるある一面とかさなって映る。そういうことを、今読むとまずおもう。

ヒヤシンス薄紫に咲きにけりはじめて心顫ひそめし日

こういうよく知られた、教科書で出会ったことがありそうなうたが、ぽんぽん出てくる。どれも色彩あざやかに迫ってきて、なにか、はじめてではないような気がしてくる。

寝てきけば春夜(しゆんや)のむせび泣くごとしスレート屋根に月の光れる
白き犬水に飛び入るうつくしさ鳥鳴く鳥鳴く春の川瀬(かはせ)
ウイスキーの強くかなしき口あたりそれにも優(ま)して春の暮れゆく

1首目の比喩の鮮烈、2首目の光景のまばゆさ、3首目の恍惚。これが白秋なのか……。いや、なんか、おどろいている。

病める児はハモニカを吹き夜に入りぬもろこし畑(ばた)の黄なる月の出
水面(みのも)ゆく櫂のしづくよ雪あかり漕げば河風身に染みわたる
草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝(ね)て削るなり

ちょっときりがないので、ここまで。冒頭の1首はやはり赤。つづいて紫、黄、白、琥珀(でも、ウイスキーはあくまで口あたり。春の色を思い浮かべたい。何色だろう)、黄、白、赤。そういえば以前、I氏に「白秋は色ですよ」と教わったような気がする。なるほど、たしかに色だなあ、とおもう。場面喚起力がつよい。

短歌日記55/365

減量20日目。禁酒3日目。87.1キロ。『河野裕子読本』(『短歌』編集部編、角川学芸出版)を読む。

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まちまちの背の高さかなぽんぽんと頭に黄を載せて菜の花

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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