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キャラバン・ダイジェスト

2017年のうちに完成、発送する予定でおりましたキャラバンの小冊子ですが、まだ作業中でございます。
遅くなってしまい申し訳ありません。1月のうちには完成させます。今しばらくお待ちくださいませ。

以下、ダイジェストでキャラバンを振り返ります。

     *     *     *

1日目 2017年9月7日(木)
青春18切符で博多から京都まで移動。博多を朝の5時台に出発、京都の宿に着いたのが夜の8時前。一日中、雨。

眠りたいのに眠れなかつたゆふべのことおもへば秋の長い霧雨
南岩国駅のホームの向かう側にいちめんと広がる蓮の葉群は
ここにレンコン育ち土ゆたか伸びゆけるこのいちめんを尊くおもふ


2日目 2017年9月8日(金)
京都から名古屋へ移動。太陽フレアのことで盛り上がっている。夜、「平和園」で食べ飲みしながらの歌会。参加者は8名。題詠「長い」1首ずつの計8首。辻聡之さんがとりまとめ、司会をしてくださった。わりあい、おおらかにメタファーを読み取っていく批評の土壌があるような気がする。

いつのまにかわたしもとんぼ揺れながらただよふ旅に逢ひたさは来る
・人まばらなる米原駅に腰かけて秋のこゑひびくところ見てゐる
秋はまだ濃く葉のしげる川岸にみづみづと陽の照りわたりたり


3日目 2017年9月9日(土)
名古屋から大阪へ移動。中崎町のレンタルスペース「らこんて中崎町」で歌会。昼の2時半から6時半まで。参加者は8名。自由詠1首ずつ計8首。1首に約30分かけて、じっくり批評。なんども歌の印象が変わることがあり、また、場の雰囲気にのまれない、それぞれの視点からの批評に刺激を受けた。北虎叡人さんがとりまとめ、司会をしてくださった。その後、「葉ね文庫」へ立ち寄り、懇親会へ。

身は秋の咳をかかへて重いやうな軽いやうな胸をゆらして歩く
感情つてかういふことか秋の雲はとほくになるのにわが胸にもある
母を呼び出し母を立たせて秋風にふるへる草とわれと見てをり


4日目 2017年9月10日(日)
大阪から神戸へ移動。歌作にはげむ。大学生のころの友人と約束して、夕方4時から酒場へ。2件まわったところでフェリーの時間。神戸からフェリーで新門司へ。

五日分の薬は尽きてしまひたれど咳をさまらず秋はやさしき
この旅にいちども見ざる月とおもふ九月はじめの風を歩いて
こゑはことばになつてゐたつてこゑだからどの評言も胸にせまりぬ


5日目 2017年9月11日(月)
朝8時半、新門司に到着。小倉まで無料の連絡バスが出ている。小倉からは新幹線で博多へ、そのまま出勤。夜、なんとか歌を作り上げる。

むしろアウェイへつねに身をおくこころざしかかげてぞゆかな秋は過ぎつつ
地図をぼんやりながめて昨日までのことおもはれてゐるひとり職場に
地元つて感じにきみが歩くのをたのしくてうしろから付いていく

     *     *     *

以上です。

喘ぎ喘ぎて

明けましておめでとうございます。

     *

またひとつ無事に新しい年を迎えることができたことへの率直なよろこびがある。身の引き締まるような風の冷たさは、まこと元旦にふさわしい。こんな一首から今年を始めたい。

ネジ巻けばただちにうごくピカチュウよ喘ぎ喘ぎて人は生くるを
   小池光『山鳩集』

元日らしくない感じもあるが、意外と実感に添う。逆接の接続助詞のつもりで「を」を想定したが、一首と成りながら微妙に違った気分が滲んでくる。ピカチュウへの同情もここに含まれよう。人とピカチュウの必ずしも対比ではないのだ。作者がどうであったかはむろん知るよしもないが、作歌の動機とは違うところへ歌が自ずと成っていくところに、定型をはじめとする短歌の諸制約の魅力があることは言うまでもない。端的に、その混沌が一首のなかに動いている。

     *

今年もよろしくお願い申し上げます。

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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