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2020年の活動

2020年の短歌にまつわる活動を記します。
2019年についてはこちらに、それ以前についてはこちら(短歌文章)にそれぞれ記しています。

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短歌
・「」7首(「」)
・「」7首(「」)
・「」8首(「」、2020.10)
・「牛車」15首(「あみもの」第三十五号、2020.11)
・「太るでもなく」33首(ネットプリント「立冬過ぎて」、2020.11)
・「坂」7首(「歌壇」11月号、本阿弥書店、2020)
・「薄い味」10首(「ぱんたれい」vol.2、2020.9)
・「題詠百首」100首(ネットプリント、2020.8)
・「山下翔詠草集8」300首(50部限定、2020.8)
・「うたが巧い」12首(「うた新聞」6月号、2020)
・「歯をみがく」10首(「文芸福岡」第8号、2020.4)
・新作2首(ネットプリント「一週間」、2020.4)
・「洗濯機」12首(「Sister On a Water」第3号、2020.2)
・「叔母さん」15首(「ねむらない樹」vol.4、2020.2)
・「おもしろい」13首(「短歌往来」1月号)


文章
・特集展望(「短歌研究」12月号、短歌研究社、2020)
・「〈読み〉の違いに立って」―「青年の主張」第10回(「短歌」10月号、角川文化振興財団、2020)
・法橋ひらく『それはとても速くて永い』一首評(「MITASASA増刊号(歌集を読む!編4)」、2020.8)
・「地震のあとで」―私の知っているくどうれいん(「ねむらない樹」vol.5、書肆侃侃房、2020.8)
・「不連続に劇的に」—「REIWA NEXUS 誌上交換日記」三巡目(「未来」8月号、2020)
・「階数のうた」(「やまなみ」8月号)
・「お金のうた」(「やまなみ」7月号)
・「代数系入門」—「REIWA NEXUS 誌上交換日記」二巡目(「未来」6月号、2020)
・大橋弘『既視感製造機械』一首評(「MITASASA増刊号(歌集を読む!編)」、2020.5)
・「光の道」—「REIWA NEXUS 誌上交換日記」一巡目(「未来」4月号、2020)
・「東直子のうた」(「やまなみ」4月号)
・「風景」—特集「熊本歌会(仮)」(「みなみのかぜ」第八号、2020.3)
・「〈なる〉」[二三川練『惑星ジンタ』書評]—読みましたか? この一冊(「現代短歌新聞」3月号、現代短歌社、2020)
・「句跨りのうた」(「やまなみ」3月号)
・「「連作」ということ」[『平成じぶん歌』書評](「歌壇」3月号、本阿弥書店、2020)
・「現実に割り込んでくる」—特集「口語は短歌に何をもたらすか」(「Sister On a Water」第3号、2020.2)
・「小田鮎子のうた」(「やまなみ」2月号)
・「単調と複雑のあわい」[森本直樹作品評](「もりもとがにゃんを辞めた日」、2020.1)
・「〈五句〉のうた」(「やまなみ」1月号)
・「むしろ〈地のうた〉」[松村正直『紫のひと』書評](「短歌研究」1月号、短歌研究社、2020)


その他
・作品季評(後半)(「短歌研究」11月号、短歌研究社、2020)
・作品季評(前半)(「短歌研究」10月号、短歌研究社、2020)
パネリスト 「小田鮎子『海、または迷路』批評会」(5/30(日)@博多)中止
・展示 「天神・梅花の宴 うたとアートのセッション」(新作3首、2/3(月)〜2/9(日)@ギャラリー風)
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旧作

記憶よ、お前いつからそこに立つてゐる。鉛筆で手を汚さなくなり

さみしくて暑くて、寝てた。これだから夕方は嫌だ、母がゐさうで。

黒猫が川の流れにさからつて走つていつた。急に、冬だ。

互ひに脚を重ねて眠る。夜だつた。汗が冷えて、窓がきれいだ。

∵(なぜならば)∴(ゆゑに)のごとき形して此岸彼岸を渡る冬鳥

もっとも心に残ったこの連作2020

心に残ったこの連作2020各部門から5篇ずつ、もっとも心に残ったものを選びました。選ぶ段階で、原則は今年発表の作品を対象としました。ただし、今年発表された(これからされる)ものであっても、これを書いている時点で読みえていないものは対象としていません。

今年は過去2年とちがって毎月すこしずつ読んで選んでいきました。そういったことが選に影響しているかもしれません。また、3年間やるなかで、ずいぶん偏りもはっきりしてきたかとおもいます。

たとえばひとりの作者について、その作者の美質をいっそう強くおもうこともあれば、あらたな一面におどろくこともありました。迷ったときには、そういうごく個人的な心のゆさぶりを大事にしました。

当然ながらいまのわたしの〈読み〉はいまだけのものであるとおもいつつ、以下に5篇ずつ列挙します。順不同です。ただし、ひとりの作者につきひとつの作品に限ることとしました。また、各誌にまたがって掲載されました斉藤斎藤さんの「エッセンシャル・ワーク」につきましては、ぜひ、ひとつのまとまった形であらためて読んでみたいとおもい、以下には選出しませんでした。

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(1)10首未満の連作
「乳首」7首(工藤吉生、「短歌研究」5月号)
「ツインソウル」7首(武田穂佳、「短歌研究」5月号)
「投稿」7首(平岡直子、「短歌研究」5月号)
「心」5首(佐伯裕子、「短歌往来」9月号)
「学校」5首(岩内敏行、「短歌往来」9月号)

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(2)10首以上20首未満の連作
「みなそこ、水面」15首(吉川宏志、「うた新聞」4月号)
「稼ぎがよい」12首(染野太朗、角川「短歌」4月号)
「桃いろやさしき」10首(前田康子、角川「短歌」5月号)
「オンライン授業」13首(永田紅、「短歌往来」6月号)
「得意げ」12首(黒﨑聡美、「うた新聞」8月号)

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(3)20首以上30首未満の連作
「夢のロープ」20首(大森静佳、「短歌研究」1月号)
「自由」28首(大口玲子、角川「短歌」4月号)
「冬のいなづま」28首(篠弘、角川「短歌」5月号)
「セミハード」20首(田村元、「歌壇」6月号)
「tokyo2020」20首(鈴木ちはね、「ねむらない樹」vol.5、2020.8)

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(4)30首以上の連作
「スクラム」30首(佐佐木幸綱、「歌壇」1月号)
「初の子年を」33首(池田はるみ、「短歌往来」2月号)
「朝」30首(山木礼子、「短歌研究」4月号)
「近づく夏」30首(小池光、「短歌研究」7月号)
「五月九日から六月七日まで」30首(花山周子、「歌壇」8月号)

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この取り組みを3年間やりましたが、ここでひと区切りとしたいとおもいます。おつきあいいただき、ありがとうございました。

心に残ったこの連作2020

5つの総合誌を中心に、この1年間で印象深かった連作、繰り返し読みたいとおもった連作、いまだによくわかっていない連作などなど、心に残った連作を列挙します。文体や題材や措辞の好き嫌いや、現在の興味関心に左右されている面がおおいにあると思いますので、あらかじめご了承ください。総合誌以外について、たとえば結社誌、そのほかの短歌会の機関誌、また新聞等については、読み得たものについては、できるかぎり対象にしています。去年一昨年につづく取り組みです。

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(1)10首未満の連作
「二つの神」7首(米川千嘉子、「短歌往来」1月号)
「ひかり」7首(池田はるみ、角川「短歌」1月号)
「ポリス」7首(水原紫苑、角川「短歌」1月号)
「冬の窓」7首(加藤治郎、角川「短歌」1月号)
「ローリエ」5首(大平千賀、「うた新聞」2月号)
「唄とノルマ」7首(岡井隆、「未来」3月号)
「炭酸泉」5首(田村元、「うた新聞」3月号)
「甲乙」7首(山中律雄、角川「短歌」3月号)
「一歳児」8首(金澤和剛、「短歌往来」4月号)
「すすり泣き」7首(大島史洋、「短歌研究」5月号)
「乳首」7首(工藤吉生、「短歌研究」5月号)
「ダウラギリ」7首(小池光、「短歌研究」5月号)
「早送り」7首(小島なお、「短歌研究」5月号)
「一茶の孤独」7首(佐佐木幸綱、「短歌研究」5月号)
「水菜の束」7首(さいとうなおこ、「短歌研究」5月号)
「忘れたいのに」7首(島田修三、「短歌研究」5月号)
「味噌を作る」7首(染野太朗、「短歌研究」5月号)
「ツインソウル」7首(武田穂佳、「短歌研究」5月号)
「どんがら」7首(野田光介、「短歌研究」5月号)
「天狗笑ひ」7首(花山多佳子、「短歌研究」5月号)
「うちにとっては」7首(花山周子、「短歌研究」5月号)
「春猫」7首(日高堯子、「短歌研究」5月号)
「投稿」7首(平岡直子、「短歌研究」5月号)
「はずしに」7首(藤島秀憲、「短歌研究」5月号)
「三月一日」7首(本田一弘、「短歌研究」5月号)
「伝染(うつ)る」7首(前田康子、「短歌研究」5月号)
「いのち」5首(伊藤一彦、「現代短歌新聞」6月号)
「あやめ」7首(岸並千珠子、角川「短歌」7月号)
「大夕焼け」5首(古谷円、「現代短歌新聞」8月号)
「ビール券」5首(田村元、「現代短歌新聞」8月号)
「石」3首(志野暁子、「うた新聞」8月号)
「心」5首(佐伯裕子、「短歌往来」9月号)
「声音」5首(前田康子、「短歌往来」9月号)
「学校」5首(岩内敏行、「短歌往来」9月号)
「豊作」7首(小林信也、「歌壇」10月号)

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(2)10首以上20首未満の連作
「グラム」10首(真野少、「八雁」2018年1月号)
「旅日記拾遺」10首(牛尾今日子、「八雁」2019年11月号)
「黒蜜」12首(松井恵子、「COCOON」7号、2018.3)
「蟹剥き」12首(小島なお、「COCOON」3号、2017.3)
「お別れを待つ」12首(早川晃央、「COCOON」15号、2020.3)
「みなそこ、水面」15首(吉川宏志、「うた新聞」4月号)
「白いきのこ」12首(野田光介、「現代短歌新聞」4月号)
「稼ぎがよい」12首(染野太朗、角川「短歌」4月号)
「毛茸」10首(大松達知、角川「短歌」4月号)
「ひとも街もこゑも」10首(松本典子、「短歌往来」4月号)
「弟よ」15首(小山加悦子、「玉ゆら」vol.68、2020.4)
「大試験」10首(棚木恒寿、「短歌往来」5月号)
「灯下を帰る」10首(屋良健一郎、「短歌往来」5月号)
「桃いろやさしき」10首(前田康子、角川「短歌」5月号)
「恩寵と息吹(二)」10首(漆原涼、「未来」6月号)
「虹始見」12首(さいとうなおこ、「現代短歌新聞」6月号)
「オンライン授業」13首(永田紅、「短歌往来」6月号)
「うれしいこぶた」15首(松村正直、「パンの耳」第3号、2020.6)
「鶯色」13首(田村元、「短歌往来」8月号)
「王さまと政治家」10首(睦月都、角川「短歌」8月号)
「得意げ」12首(黒﨑聡美、「うた新聞」8月号)
「Tokyo Blue」12首(大松達知、「現代短歌」9月号)
「Zoomと天窓」12首(永田紅、「現代短歌」9月号)
「飴玉」10首(竹中優子、角川「短歌」11月号)

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(3)20首以上30首未満の連作
「不眠」20首(米川千嘉子、「短歌研究」1月号)
「夢のロープ」20首(大森静佳、「短歌研究」1月号)
「餅と池」21首(日高堯子、「短歌往来」1月号)
「自由」28首(大口玲子、角川「短歌」4月号)
「汗のたなぞこ」20首(篠弘、「短歌研究」4月号)
「長生き 二〇二〇年一月〜二月」20首(花山周子、「短歌研究」4月号)
「ポトスライム」20首(田村元、「短歌研究」4月号)
「白の跳躍」20首(北村早紀、「遠泳」、2019.1)
「丘」20首(小島ゆかり、「歌壇」5月号)
「正常 二〇一九年十月〜十二月」24首(花山周子、「現代短歌」5月号)
「ことしの春」28首(小池光、角川「短歌」5月号)
「冬のいなづま」28首(篠弘、角川「短歌」5月号)
「セミハード」20首(田村元、「歌壇」6月号)
「花火と豆菓子」20首(鯨井可菜子、「短歌研究」6月号)
「『佐信書簡』(佐佐木信綱・新村出書簡集)」21首(佐佐木幸綱、「短歌往来」7月号)
「エッセンシャル・ワーク(2)」20首(斉藤斎藤、「歌壇」8月号)
「tokyo2020」20首(鈴木ちはね、「ねむらない樹」vol.5、2020.8)
「生くるとは」20首(篠弘、「歌壇」9月号)
「風の伯爵夫人」20首(青木昭子、「歌壇」9月号)
「天道虫」20首(小池光、「歌壇」12月号)

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(4)30首以上の連作
「スクラム」30首(佐佐木幸綱、「歌壇」1月号)
「記憶」30首(山木礼子、「短歌研究」1月号)
「初の子年を」33首(池田はるみ、「短歌往来」2月号)
「朝」30首(山木礼子、「短歌研究」4月号)
「碑の蟻」30首(島田幸典、「短歌研究」4月号)
「その時代のことはあまり知らない」30首(平出奔、「のど笛」、2020.1)
「息の根を呼びとめて」30首(橋爪志保、「のど笛」、2020.1)
「彼方への記憶」33首(恒成美代子、「短歌往来」6月号)
「エッセンシャル・ワーク」30首(斉藤斎藤、「短歌研究」6月号)
「常なき日々の——多摩丘陵2020年春」30首(三枝昻之、角川「短歌」7月号)
「せーので」30首(山階基、「短歌研究」7月号)
「近づく夏」30首(小池光、「短歌研究」7月号)
「煙の生活」30首(武田穂佳、「短歌研究」7月号)
「五月九日から六月七日まで」30首(花山周子、「歌壇」8月号)
「エッセンシャル・ワーク(3)」30首(斉藤斎藤、「短歌研究」9月号)

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列挙した作品をこれから読み返して、(1)〜(4)それぞれから5篇ずつ、もっとも心に残った連作2020を選びたいと思います(そのさい、ここには挙げていないものを候補に加えることもあります)。

10月〜12月の連作

2020年10月〜12月の諸誌紙から、気になる連作をピックアップします。(順不同)

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小林信也「豊作」7首(「歌壇」10月号)
ささやかな一連だが、さりげなさや、やさしさのようなものが胸にせまってきた。〈妻連れて車の点検に行かむとす些細な外出も今は楽しき〉、厳しい現状認識や批評ではなく、このようなあり方がかえってめずらしくうつる。〈九十五まで生きると言ふ母その頃は俺も七十三だよ 言ひて笑へり〉は字余りを結句できりかえして印象的な場面となった。

竹中優子「飴玉」10首(角川「短歌」11月号)
〈飴玉は父親のようきいろくて仄暗い舌に舐められている〉が五首目で、ここからの「父親」をうたったうたがことに印象深かった。まずこの一首には、竹中さんらしい不穏さと眼差しがあり、しかしそれはある一面に過ぎない。この粘り気がありながら、一方ではあっけらかんとしていたりして、その多面的なところにひきこまれる。

小池光「天道虫」20首(「歌壇」12月号)
二十首のなかで話題をころがしながら、つまり話題はいくつもいくつもありながら、一方で一首としては意味ではなく韻律や文体で読ませる、というのが小池さんの連作のおもしろいところである。〈間違へることをりふしにあるべくしてしのの子がさな、さなの母しの〉は子の「しの」孫の「さな」のひびきの連関をたのしげにうたう。

プロフィール

山下翔(やました・しょう)

Author:山下翔(やました・しょう)
▶︎1990年生。2018年、『温泉』(現代短歌社)を刊行。「やまなみ」所属。
▶︎『温泉』ご購入はこちらから。現代短歌社のオンラインショップです。
▶︎お問い合わせ、ご依頼はs.ohsamay@gmail.com(@は半角に変えてください)までご連絡ください。

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